自分で着物を着られるようになっても、意外と難しいのが「着姿の答え合わせ」です。
正面は鏡を見ながら確認できますが、背中やお太鼓、裾などの後ろ姿は自分では見えにくいもの。
「一応着られたけれど、これで合っているのかな?」
「写真を見ると、なんとなく後ろ姿が気になる」
「着崩れているのはわかるけれど、どこがおかしいのかわからない」
そんなことはありませんか。
着物の後ろ姿は、すべてを完璧に整える必要はありません。
まずは、衣紋、背縫い、背中、帯、お太鼓、おはしょり、裾など、見る場所を知ることから始めましょう。
この記事では、着付け後に確認したい後ろ姿の10のチェックポイントを、着物スタイリスト/着付け師の視点から解説します。
正面から見た着姿については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
▶ 着姿の答え合わせ|正面編
https://love.kimono-dress4u.com/kitukepoint1/
着物の後ろ姿はどこを見る?10のチェックポイント


着付けが終わったら、まず次の10項目を確認してみましょう。
1. 衣紋の抜き加減は自然か
2. 背縫いが身体の中心にあるか
3. 背中に大きなたるみやしわがないか
4. 帯の位置とお太鼓の大きさはバランスが取れているか
5. タレ先の長さは整っているか
6. お太鼓山がまっすぐになっているか
7. お太鼓とタレ先のラインが整っているか
8. 右脇のおはしょりがだぶついていないか
9. 裾すぼまりのシルエットになっているか
10. 後ろの裾丈が長すぎたり短すぎたりしていないか
全部を一度に直そうとしなくても大丈夫です。
まずは自分の後ろ姿を見て、「どこを見るのか」がわかることが着姿を整える第一歩です。
上半身の後ろ姿を確認する
1.衣紋の抜き加減は自然か
まず確認したいのが、衣紋の抜き加減です。
衣紋が詰まりすぎていると首元が窮屈に見え、反対に大きく抜きすぎると、着物や着る場面によっては品のない印象になってしまったりします。
衣紋は「何cm抜けば正解」と一律に決まるものではありません。
着物の種類、年齢、体型、髪型、好みによっても似合う抜き加減は変わります。
後ろ姿を見たときに、
・首から衿までのラインが自然か
・左右の衿に大きな差がないか
・衿が首に詰まりすぎていないか
を確認してみましょう。
2.背縫いが身体の中心にあるか

後ろから見たとき、背縫いが身体の中心にきているかを確認します。
背縫いが左右へ大きくずれていると、後ろ姿全体のバランスも崩れて見えます。
帯から下では、体型によって多少左右へ動くこともあります。
これは体型と着物の身幅が合っていないことが原因ですが、多少のずれはOKとされます。
まずは上半身の背中心が合っているかを確認しましょう。
背縫いがずれる主な原因
ひとつは、着物を羽織った最初の段階から背中心がずれている場合です。
背中は自分では確認しにくいため、着物を羽織ったら、正面から見て掛け衿が左右同じ位置にきているかを確認します。
掛け衿の位置が揃っているかを見ることで、背中心のずれにも気づきやすくなります。
もうひとつは、前で帯を結んでから後ろへ回す着付けの場合です。
帯をぐるりと回すとき、帯と着物の摩擦によって、帯だけでなく着物の布地まで一緒に動いてしまうことがあります。
最初は中心にあった背縫いが、帯を回したあとにずれてしまいます。
背縫いをずらさないためには
前結びをする場合は、帯が回りやすい素材の帯板などを使い、着物の布地まで一緒に動かさないようにします。
・着物を羽織ったとき
・帯を後ろへ回したあと
の2回、背中心を確認しておくと安心です。
3.背中に大きなたるみやしわがないか
背中の布がタブついていたり、大きなしわが寄っていないかも確認します。
少しのしわまで完全になくす必要はありません。
着物は身体に沿わせて着るものなので、体型や動きによって多少のしわはできます。
腰紐の上などに布が大きくたまり、背中全体がもたついて見える場合は、上半身の布が十分に整っていない可能性があります。
帯を締める前に、最後の手直しとして背中の布を少し下へ引き、余分なたるみを整えておくと、後ろ姿がすっきり見えます。
帯とお太鼓を確認する
4.帯の位置とお太鼓の大きさはバランスが取れているか
帯の高さとお太鼓の大きさも、後ろ姿の印象を大きく左右します。
これにも絶対的な正解があるわけではありません。
身長や体型、年齢、着物の雰囲気、好みによって、似合う帯位置やお太鼓の大きさは変わります。
大切なのは、身体全体を見たときに、お太鼓だけが大きすぎたり、小さすぎたりして見えないかというバランスです。身体に対してお太鼓が小さすぎると、背中の余白が多くなり後ろ姿が大きい印象になってしまうことも。
着付けが終わったら、帯だけをアップで見るのではなく、頭から足元まで全体で確認してみましょう。
5.タレ先の長さは整っているか
お太鼓の下に見えるタレ先が、長すぎたり短すぎたりしていないか確認します。
一般的には8〜10cm程度がひとつの目安ですが、体型やお太鼓の大きさによっても見え方は変わります。
タレ先だけを見るのではなく、お太鼓全体とのバランスで確認することが大切です。
6.お太鼓山がまっすぐになっているか
お太鼓の上辺、お太鼓山が左右どちらかへ傾いていないかを確認します。
お太鼓が斜めになる原因は?
自装で意外と多いのが、鏡を見ながらお太鼓を作ろうとして身体をねじってしまうことです。
三面鏡でなければ、後ろ姿を見るためにどうしても身体をひねることになります。
身体をねじった状態でお太鼓を整えると斜めになったり、形がゆがんだりしやすくなります。
帯の布目がまっすぐ通っていないことも、お太鼓がゆがむ原因になります。
お太鼓山をまっすぐ作るコツ
お太鼓山は、帯枕を入れてから直そうとするのではなく、帯枕を入れる前に形を作っておきます。
帯の左右の端を揃えて帯山を作り、身体の横で帯山に帯枕を通すようにすると、形が決まりやすくなります。
慣れてきたら、鏡だけに頼らず、指先で帯端や布目を確認する感覚も覚えていきましょう。
手の感覚が身につくと、身体をねじって鏡を見なくても、お太鼓の状態がわかるようになります。
7.お太鼓とタレ先のラインが整っているか
お太鼓山だけでなく、お太鼓の帯端とタレ先の帯端のラインも確認します。
タレ先とお太鼓の帯端がまっすぐ重なっていると、布目が通っているのでお太鼓がすっきり整って見えます。
左右どちらかへ大きくずれていたり、斜めになっていないか、少し離れたところから全体を見てみましょう。
おはしょりと裾を確認する
8.右脇のおはしょりがだぶついていないか
右脇のおはしょりがふくらんだり、布が余ってもたついていないかを確認します。
右側だけだぶつきやすいのは、前と後ろのおはしょりの長さが違うためです。
後ろのおはしょりの方が長いため、その差が右脇の合わせ部分に集まり、布が余って見えることがあります。
多少のふくらみまで完全になくす必要はありませんが、大きく布がたまっている場合は、前後のおはしょりの長さが揃っているかを確認してみましょう。
9.裾すぼまりのシルエットになっているか
後ろから見たとき、裾に向かって自然にすっきりしたシルエットになっているかを確認します。
裾が左右へ大きく広がり、台形スカートのような形になっている場合は、着付けの途中で下前の褄上がりが十分に作れていない可能性があります。
裾が広がるときに確認したいこと
腰紐を締めたあと、一度上前をめくって、下前がきちんと褄上がりになっているか確認していますか?
ここで下前の裾線がまっすぐなままだと、裾が横へ広がりやすくなります。
腰紐をした段階で下前の褄上がりを確認しておくと、裾すぼまりのシルエットを作りやすくなります。
10.後ろの裾丈が長すぎたり短すぎたりしていないか
最後に裾丈を確認します。
一般的な着物では、後ろから見たときに、かかとが隠れる程度をひとつの目安にします。
ただし、着物の種類や履物、着る場面によっても多少変わります。
エレガントな着物は少し長めにすることもあります。
浴衣を素足で着る場合は、くるぶしが少し見える程度でもかまいません。
訪問着や留袖など礼装用の草履を履く着物では、後ろから足袋が見えない程度に整えると、きれいな後ろ姿になります。
後ろ姿はスマホで撮影すると「答え合わせ」しやすい
自分の後ろ姿は、鏡だけでは意外と確認しにくいものです。
三面鏡がない場合は、着付けが終わったあとにスマートフォンで後ろ姿を撮影して確認するのがおすすめです。
写真なら、
・背縫いの位置
・背中のたるみ
・お太鼓の傾き
・タレ先
・おはしょり
・裾すぼまり
・裾丈
を一度に確認できます。
また、着物を着るたびに写真を残しておくと、
「私はいつもお太鼓が右上がりになりやすい」
「右脇のおはしょりが余りやすい」
など、自分の着付けの癖にも気づきやすくなります。
着姿の答え合わせは、誰かに採点してもらうためのものではありません。
自分で違和感に気づき、自分で確認できる場所を少しずつ増やしていくためのものです。
よくある質問
着物を羽織った段階から背中心がずれている場合と、前で結んだ帯を後ろへ回す際に、摩擦で着物まで一緒に動いてしまう場合があります。
着物を羽織ったときの掛け衿の左右位置と、帯を回したあとの背中心を確認すると気づきやすくなります。
後ろを確認しようとして身体をねじったままお太鼓を作ることや、帯の布目が通っていないことが原因になる場合があります。
帯枕を入れる前に帯山を作り、帯端を揃えておくと整えやすくなります。
下前の褄上がりが十分に作れていないと、裾が横へ広がり、台形のようなシルエットになりやすくなります。
腰紐を締めたあと、上前をめくって下前の裾線を確認してみましょう。
三面鏡がなくても、スマートフォンで後ろ姿を撮影すれば、背縫い、お太鼓、おはしょり、裾などを客観的に確認できます。
一度だけでなく、着物を着るたびに写真を残しておくと、自分の着付けの癖も見つけやすくなります。
まとめ|着物を着たら、正面だけでなく後ろ姿も確認しよう

自分で着物を着られるようになると、次に気になるのが「きれいに着られているかどうか」です。
後ろ姿では、次の10項目を確認してみましょう。
1. 衣紋の抜き加減
2. 背縫いの位置
3. 背中のたるみ
4. 帯位置とお太鼓の大きさ
5. タレ先の長さ
6. お太鼓山の傾き
7. お太鼓とタレ先のライン
8. 右脇のおはしょり
9. 裾すぼまり
10. 後ろの裾丈
すべてを一度に完璧に整える必要はありません。
まずは写真を撮って、気になるところを一つずつ確認してみてください。
「なんとなく変」と感じていた着姿も、見るポイントがわかると、少しずつ「ここを整えればいい」と判断できるようになります。
着付けは、ただ「着られる」だけでなく、自分の着姿を見て、自分で整えていけるようになると、もっと楽しくなります。
正面から見た着付けのチェックポイントはこちらで解説しています。
▶ 着姿の答え合わせ|正面編
https://love.kimono-dress4u.com/kitukepoint1/
「着られた」で終わらず、「整えられる」へ
