誰でもできる苦しくない下腹とヒップの補正の仕方
着物を着たとき、下腹のぽっこりやヒップラインが気になることはありませんか?
実は、特別な補正下着やガードルを使わなくても、裾よけの巻き方を少し変えるだけで、下腹とヒップをすっきり整えることができます。
ポイントは、
- ヒップを裾よけで下から包み込む
- 前で布をX字に引き上げて下腹を支える
- 余った布を折り返して補正として使う
この3つ。
一級着付け技能士・着物専門店オーナーの視点から、写真とともに順番に解説します。
着物で下腹・ヒップが気になる理由
着物は身体のラインに沿って布を重ねるため、下腹やヒップのラインが意外と目立ちます。
特に後ろ姿は自分では確認しにくく、写真を見て初めて「思ったよりヒップラインが出ていた」と気づくこともあります。
洋服ならガードルなどで整える方法もありますが、着物では腰紐や帯などが重なるため、「これ以上締め付けるものを増やしたくない」という方も多いでしょう。
そこで利用したいのが裾よけのつけ方です。
裾よけの上部にある伸びにくい綿生地を身体に沿わせることで、補正下着を追加しなくても下腹とヒップのラインを整えることができます。
裾よけでぽっこりお腹とヒップを補正する方法
<手順>
- ヒップに裾よけをぴったりとあて、下から引き上げるようにして前まで持ってくる。
- 今度は気になる下腹をぐっと押さえるように交差しながら引き上げる。
- そうすると紐のあるところの生地が三角に飛び出ます。
- それを下に折り返すと補正になる。
順を追って、解説します。
① ヒップに裾よけをぴったり沿わせる
ヒップにあてているのは綿生地の部分。
太ももとヒップの境目に、裾よけの綿生地とすべりのよい生地の境目をもってきます。
ヒップに生地をぴったりとあてて、身体の側面に持ってきたときにヒップを生地で持ち上げるような気持ちで裾よけをつかんでいる手を上に引き上げます。
綿の生地は伸びがないので、ヒップをタイトに包み込んでくれます。
② 下腹の前でX字に引き上げる
身体の側面で前に引っ張った力を緩めることなく、前で合わせます。
上前、下前と交差するお腹の前で「X字」になるように、引き上げます。
「X字」に引き上げることで、下腹を布で支え、前から見たラインをすっきり整えます。
お腹の前で布が二重になるため、薄い布でも下腹を支える働きをしてくれます。
③ 三角に余った布を確認する
ぐるりと回っている裾よけのウエストまわりは、いつもとかなり違った感じになっていますね。
引き上げた部分が三角に飛び出ている状態になっています。
これで「正しい」ので心配しないでください。
お腹の前で布がクロスして二重になるため、下腹を布で支えながら前から見たラインを整えることができます。
強く締め付けるのではなく、布を身体に沿わせることがポイントです。
④ 余った布を下へ折り返す
この三角に飛び出ている部分を下方向へ折り返します。
折り返した部分はきっちりと畳まなくてもOK。
これはカリスマきものスタイリストの大久保信子さんの着付け方です。
「このぐしゃぐしゃが補正になるのよ」と大久保先生は仰っていました。
とは言っても、せっかくぺたんこに補正されたお腹の上にぐしゃぐしゃ布があれば逆効果なので「それなり」に散らして折り返してください。
折り返した上に裾よけの紐を結びます。
紐はきつく締めなくてもOKです。
着付けの紐はとかくきつく締めるイメージがありますが、裾よけの紐はゆるゆるでも大丈夫です。
裾よけで補正するときの3つのポイント
裾よけで下腹とヒップを整えるときは、強く締めればよいわけではありません。次の3つを意識してください。
強く締めすぎない
補正は紐の強さではなく、布を身体に沿わせることで行います。裾よけの紐を必要以上に締める必要はありません。
ヒップは下から包み込む
横方向だけに引っ張るのではなく、太ももとヒップの境目から下から持ち上げるように布を沿わせます。
折り返した布を一か所に重ねない
三角に余った布は、厚みが一か所に集中しないよう少し広げながら折り返します。布が固まると、かえってお腹まわりに厚みが出てしまいます。
この方法は一般的な裾よけでもできますが、上部の綿布が狭いものでは、ヒップ全体を包みにくいことがあります。市販の裾よけでは綿の部分が狭いので大久保さんは「改造」をすすめています。
補正しやすい裾よけに改造する方法
手作りと言っても、今お使いの裾よけを少し改造するだけなんです。
とってもカンタンです。
ではざっくりと工程の説明を。
- 裾よけ上部の綿の布を取り除く。
- 晒の幅いっぱいをつかい(約35cmくらい)裾よけの下部の両端よりも30cmくらい出して、縫いつける。
- 紐は、新しく縫い付けた晒の上から4cmくらいの場所に縫い付ける。
- 新しく縫い付けた晒の両端の下部分を三角に折り上げて、縫い付ける。
文字で書くと、難しく感じますが下の図を合わせてご覧ください。

直線のみなので、ミシンで縫うも良し、手縫いも良し。
ヒップがきっちり収まりつつも身体がラクです。
「こんな薄い綿生地で、本当に下腹やヒップのラインが整うの?」と思いますよね。
布の力というか、糸の力、繊維の力、スゴイものがあります。
まとめ|ぽっこりお腹は「足す補正」だけでなく裾よけでも整えられる
着物の体型補正というと、タオルや補正パッドを足す方法を思い浮かべますが、下腹やヒップのようにボリュームを抑えたい部分は、裾よけの布を身体に沿わせる着付け方でも整えることができます。
ポイントは、
- ヒップを下から包む
- 下腹の前でX字に布を引き上げる
- 余った布を広げながら折り返す
- 紐を必要以上に締めない
こと。
裾よけの段階で下半身のラインが整うと、その上に着る長襦袢や着物も裾つぼまりのシルエットを作りやすくなります。
「お腹が気になるから補正をたくさん足す」のではなく、まずは手持ちの裾よけの着方から見直してみてください。
着物のお腹・ヒップ補正でよくある質問
Q.浴衣でも同じ方法は使えますか?
A.裾よけを着用する場合は、浴衣でも同じ考え方で使えます。
夏は補正を増やすほど暑くなるため、タオルなどを何枚も重ねるより、裾よけの布を利用してラインを整える方法は取り入れやすいでしょう。
Q.着物の下にガードルを履いてもいいですか?
A.ガードルを履いてはいけないわけではありません。
ただし、着物では腰紐や帯なども身体に重なるため、締め付けの強いものでは苦しく感じる場合があります。
下腹やヒップラインが気になる場合は、まず裾よけの巻き方で整えてみるのも一つの方法です。
Q.裾よけを強く締めればお腹は細く見えますか?
A.強く締めればよいわけではありません。
大切なのは、ヒップから下腹まで布をぴったり当て、お肉を下からすくい上げるように引き上げて支えることです。
紐は必要以上に締めると動きにくさや苦しさにつながるため、ゆるくからげて強く結ばなくても十分です。
大久保信子先生の裾除けは「こまものや七緒」で購入できます。

