袋帯を締めてお太鼓を作ったとき、「ちょうど見えるところに折れ線が入っている!」と気づいたことはありませんか?
せっかくきれいに着付けても、お太鼓の真ん中や前帯にくっきりと折れ線があると気になりますよね。
袋帯は約4m20cm〜4m40cmほどの長さがあります。
この長い帯を、
「まず真半分に折って、さらに半分、また半分」
と機械的に畳んでいくと、帯の長さによっては、お太鼓や前帯として表に出る部分に折り山が当たってしまうことがあります。
そこでこの記事では、袋帯のお太鼓や前帯にできるだけ折れ線をつけないための畳み方をご紹介します。
先に結論をお伝えすると、
袋帯は、必ず真半分から畳み始めなくても大丈夫です。
お太鼓と前帯になる位置を先に確認し、その部分に折り山が来ないように、畳む位置をずらします。
帯を収納しやすい形に合わせるのではなく、実際に締めたときの着姿を基準に畳み方を決めていきます。
なぜ普通に袋帯を畳むと、お太鼓に折れ線が入るの?

袋帯は一般的な長さで約4m20cm〜4m40cmほどあります。
これを真半分にして、さらに半分、そのまた半分と畳んでいけば、コンパクトできれいな長方形になります。
一般的な帯用のたとう紙にも収まりやすい大きさです。
ところが、ここにひとつ問題があります。
帯の長さは一本一本同じではありません。
そのため、同じように真半分から畳んでも、最終的な折り山の位置は帯によって変わります。
その折り山が、実際に締めたときのお太鼓の中央や前帯に当たってしまうことがあるのです。
収納した状態では小さな折り線でも、長期間そのままにしておくと、いざ締めようとしたときに思った以上にはっきり残っていることがあります。
袋帯を畳むときには、
「どこで折るか」よりも先に、「どこを折らないか」を決める
ことが大切です。
※折れ線の状態を分かりやすく示したイメージ画像です
袋帯で折れ線を入れたくないのは「お太鼓」と「前帯」
袋帯を二重太鼓にしたとき、特に折れ線を避けたい場所は大きく2か所あります。
ひとつは背中に見える「お太鼓」。
もうひとつは、身体の正面に見える「前帯」です。
この2か所に折り山が来ないように畳みます。
お太鼓になる位置を確認する
お太鼓になる位置は、たれ先を基準にして逆算することができます。
お太鼓柄の袋帯であれば、柄そのものが目印になるので比較的分かりやすいでしょう。
実際に二重太鼓を作ったときに見える範囲を確認して、その部分には折り山が入らないようにします。

お太鼓柄の場合は、
「ここがお太鼓になる」
という位置を目で確認できます。
そのため、折り山を避けること自体はそれほど難しくありません。
問題は、もうひとつの「前帯」です。
前帯になる位置は人によって変わる
前帯は、お太鼓ほど簡単には位置を決められません。
なぜなら、同じ袋帯を締めても、
- 胴回り
- 補整の厚み
- 着物の厚み
- 帯を巻き始める位置
- 帯を締める強さ
- 普段の締め方
などによって、正面に来る場所が変わるからです。
「たれ先から○cm」
「手先から○cm」
と一律に決めても、自分が実際に締めたときの前帯位置とはずれることがあります。
前帯に折れ線を入れたくない場合は、自分が実際に締めたときの位置を確認するのが一番確実です。
前帯の位置を正確に確認する方法
前帯になる場所を確認する一番確実な方法は、実際にいつもの状態で袋帯を締めてみることです。
補整をして、着物を着て、普段と同じ方法で袋帯を巻きます。
ここで大切なのは、「収納用に適当に巻く」のではなく、できるだけ普段と同じ条件にすること。
帯を二巻きしたら、正面に見える二巻目の前帯部分を確認します。
その両端にクリップなどで目印をつけます。
このクリップとクリップの間が、実際に自分が袋帯を締めたときに正面へ出る範囲です。

この部分には、収納するときの折り山が来ないようにします。
一度この位置を確認しておけば、
「私の場合、この袋帯の前帯はここ」
という基準ができます。
同じ袋帯でも、誰が締めても同じ場所が前帯になるわけではありません。
だからこそ、袋帯の長さだけではなく、自分の着付け方を基準に畳み位置を決めるのがポイントです。
着物を着ずに前帯の位置を見積もる方法
とはいえ、
「袋帯を畳むためだけに、毎回着物まで着るの?」
と思いますよね。
一度きちんと位置を確認する方法としては実際に着物を着るのが一番ですが、もう少し簡単に前帯位置を見積もる方法もあります。
その場合は、まず普段と同じ程度の補整を洋服の上にします。
そして、帯を締める高さに腰紐を一周させます。
腰紐に、自分の胴一周分の長さを写し取ります。
クリップで一周したところを挟んでおきます。

この腰紐が、自分の補整後の胴回りを再現する「物差し」になります。
手先分は、いつもの帯の締め方と同じく肩に掛けたり胴に巻いたりしてください。
それで手先の長さを見積もります。一巻目の起点にクリップで目印をつけておきます。
次に腰紐を袋帯の上へ置き、一巻目、二巻目と帯を巻いた場合のおおよその位置を見積もっていきます。
二巻目の正面に来る範囲が分かったら、そこへクリップで目印をつけます。
この方法はあくまで簡易的なものです。
実際には、着物の厚みや帯を締める強さなどによって多少位置が変わります。
より正確に確認したい場合は、補整をして着物を着た状態で、いつもの締め方で袋帯を巻いて確認してください。

お太鼓と前帯の折り目を避けて袋帯を畳んでみよう
お太鼓と前帯の位置が確認できたら、いよいよ袋帯を畳みます。
ここで一番覚えておいてほしいのが、
袋帯は、最初から真半分に折らなくてもいい
ということです。
まず一度、いつものように真半分に折ってみましょう。
その折り山がお太鼓や前帯に当たっていないか確認します。
もし折り山がお太鼓や前帯の範囲に入っていたら、その場所では折りません。
最初の折り位置を少しずらします。
最初の折り位置をずらしたら、その後もお太鼓と前帯に折り山が入らないように確認しながら畳んでいきます。
きっちり左右同じ長さになることよりも、
実際に締めたときに見える場所を折らないこと
を優先します。

そして、お太鼓にも前帯にも折り山が入らない位置で畳めたら完成です。
袋帯は一本一本長さが違います。
また、前帯になる位置も着る人によって違います。
「たれ先から必ず○cmで折る」
というひとつの数字ですべての袋帯を畳む必要はありません。
その帯と、自分の締め方に合った位置で畳めばよいのです。
ベストな畳み位置が決まったら、帯の裏に目印を
一度、
「この位置で畳めば、お太鼓にも前帯にも折れ線が入らない」
という場所が分かったら、次回から毎回測り直す必要はありません。
帯の裏側に、ひと針だけ糸を入れて小さな糸だまを作っておきます。
目立つ印をつける必要はありません。
自分だけが分かる程度の小さな印で十分です。

次回袋帯を収納するときは、この糸印を目安に折れば、毎回ほぼ同じ位置で畳むことができます。
何本か袋帯を持っている場合でも、それぞれの帯に自分のベストな畳み位置をつけておけば、次からの収納がかなり楽になります。
畳み方を変えると帯用のたとう紙に収まらないことも
お太鼓や前帯を避けて畳むと、
「あら、帯用のたとう紙に入らない」
ということもあります。
でも、それで構いません。
袋帯をきれいな長方形にすることや、帯用のたとう紙にぴったり収めることが目的ではありません。
目的は、お太鼓や前帯など、着用したときに見える部分に不要な折れ線を作らないことです。
折り位置をずらした結果、一般的な帯用のたとう紙より長くなった場合は、着物用の長いたとう紙を使って収納する方法もあります。
無理に短い帯用のたとう紙へ押し込んで、せっかく避けた場所に新しい折り線を作ってしまっては本末転倒です。
帯の長さや畳み方に合わせて、収納するたとう紙のサイズも柔軟に選んでください。
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すでに袋帯に折れ線がついてしまったら?
ここまでは、これから折れ線を作らないための畳み方をご紹介しました。
すでにお太鼓や前帯に折れ線がついてしまっている場合はどうすればよいのでしょうか。
帯によって対処方法を変えます。
紬地のような袋帯の場合
紬地のような生地で、金糸や銀糸などが織り込まれていない袋帯であれば、帯の裏側からアイロンを当てて折れ線を整える方法があります。
帯の表側へ直接アイロンを当てるのではなく、裏側から状態を確認しながら整えます。
初めて行う場合や帯の素材が分からない場合は、目立たない場所で確認してから行ってください。
また素材が不明な場合は、高い温度で溶ける素材もあることをかんがみて低温で当て布など工夫をされてください。
金糸・銀糸の入った礼装用袋帯は専門店へ
金糸や銀糸が織り込まれた礼装用の袋帯、箔や刺繍などの加工がある帯は、家庭で無理にアイロンをかけない方が安心です。
このような帯にくっきりと折れ線がついてしまった場合は、着物専門のクリーニング店や悉皆店などにプレスを相談しましょう。
大切な袋帯ほど、自分で何とかしようと無理をしないことも大切です。
収納中の折りジワを防ぐ方法
袋帯を長期間収納するときは、折り山そのものを深くつけない工夫もできます。
折り山になる場所へ棒状のクッション材などを挟み、帯を圧力がかかりにくくなるように収納する方法です。
折り山をぺたんと押しつぶさず、丸みを持たせて収納することで、強い折り跡がつくのを防ぎやすくなります。
特に、しばらく締める予定のない袋帯や、折り跡をつけたくない帯の収納方法として取り入れてもよいでしょう。

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袋帯のたたみ方でよくある質問
いいえ。
真半分に折った場所がお太鼓や前帯になる場合は、最初の折り位置をずらして構いません。
きれいな長方形に畳むことよりも、着用したときに見える部分へ折り線をつけないことを優先します。
一律に「○cm」と決めることはできません。
袋帯そのものの長さに違いがあるほか、前帯になる位置は、胴回り、補整、締め方などによっても変わるからです。
実際に自分が締めたときのお太鼓と前帯の位置を確認して、そこを避けるように畳む方法がおすすめです。
基本的な考え方は同じです。
ただし、お太鼓柄の袋帯は、お太鼓と前柄の位置を目で確認しやすいため、折ってはいけない場所を判断しやすくなります。
柄のある部分に折り山が来ないように調整して畳みます。
大丈夫です。
お太鼓や前帯を避けて畳んだ結果、帯用のたとう紙より長くなる場合は、着物用の長いたとう紙へ収納する方法があります。
無理に短いサイズへ合わせて折り直す必要はありません。
帯の生地や加工によって異なります。
紬地のような生地で、金糸・銀糸などが使われていないものは、裏側からアイロンで整える方法があります。
金糸・銀糸が織り込まれた礼装用の袋帯や、箔・刺繍などの加工がある帯は、着物専門のクリーニング店などへ相談する方が安心です。
まとめ|袋帯は「収納しやすさ」より「着姿」を基準に畳む
袋帯のお太鼓や前帯に折れ線をつけないために、一番大切なのは、
真半分から畳むことにこだわらないことです。
袋帯を畳む前に、
- お太鼓になる場所
- 前帯になる場所
を確認します。
その2か所へ折り山が来ないように、最初の折り位置をずらして畳みます。
前帯の位置は人によって違うため、より正確に知りたい場合は、補整をして着物を着た状態で、いつもの締め方で袋帯を巻いて確認するのがおすすめです。
一度ベストな畳み位置が決まったら、帯の裏側に小さな糸印をつけておけば、次回から毎回測る必要もありません。
そして、畳んだ帯が帯用のたとう紙に収まらなければ、着物用の長いたとう紙を使えばよいのです。
袋帯を収納するために、帯を無理に決まった形へ合わせる必要はありません。
実際に締めたときに一番きれいに見える状態を守るために、畳み方を合わせる。
お気に入りの袋帯を次に締めるとき、
「お太鼓の真ん中に折れ線が……」
とがっかりしないために、収納するときのひと手間を取り入れてみてください。
きれいに締めたい一本を、次の一枚に。
フォーマルにも、少し遊びのある着こなしにも。

