リサイクル着物の購入の際には気になるしみ。
画像ではよく見えなかったり、実際に見たり、着てみると気になるところにあったり、と悩ましいものですよね。
お着物のどの部分に多くしみがあるのか、自分で落とせるものなのか考えてみました。
リサイクル着物のしみどんなところに多い?
リサイクル着物についているしみはどこについていることが多いのでしょうか?
表地:上前の膝からあたり、衿山、衿とおくみの境目あたり、後ろ身頃の裾、袂。
裏地:胴裏のアク。黄変。汗じみ。
だいたい、上記のような場所に多く見られますよね。
しみがついた部分を見ていると、どんなものがついたしみなのか推測することができます。
シミのついた原因を知ることが、シミを落とす際にカギになりますので推測することは重要なんです。
リサイクル着物のについていたしみはなんのしみ?
着物についたしみを大きく分けると水溶性のしみと油性のしみの二つになります。
自分で落とす際はもちろんしみの正体を把握することは重要です。
専門家に染み抜きを頼むときにもいつ、どんなときについたものなのか伝えるとベター。私がしみ落としで利用している染工場では、ついて1週間以内の しみ は格安価格で染み抜きしてくれるメニューがあります。
理由を尋ねたところ「ついてすぐだと、落としやすいので」とのことでした。
なぜ、しみの正体を把握することが重要かというと、しみを落とす方法が違ってくるためです。
水溶性の しみ と油性のしみと主にどんなものがあるのか、しみのついた原因を上げてみます。
水溶性のしみ:水で濡れた→手洗いの際の水はね、冷たいグラスの水滴が落ちた、。
お醤油→お食事の際についた、など。
油性のしみ:食べ物のしみ→お食事のお料理が箸から落ちてしまった。
衿山の線状のしみ→ファンデーションがついた。
袖口の内側(八掛の布端)→身体の皮脂汚れなど。
ほかに厄介なものとして、赤ワインのしみ、雨降りの際の泥はねなどあります。
着物についたしみを落とす方法とは?
しみの種類、上記にあげた水溶性か油性かによって対処の方法が異なってきます。
衿山の線状の汚れはファンデ汚れや皮脂汚れがほとんどなので、有機溶剤(ベンジン、リグロイン)などで、自分で落とすことができます。
まず、衿山のしみ汚れでしみ落としを試してみてはいかがでしょうか?
自分でできる着物のしみ落としの方法
ベンジン、リグロインなどの溶剤を使用し、しみを落とします。
厳密にいうと自分でやる方法では「落とす」ではなく「目立たなくする」になるそうです。
専門家に聞いたところ、溶剤でしみの範囲を広げてしみの分子を拡散しているのだそうです。
確かに、自分で衿山のファンデーション汚れを落とす際に、下に白いタオルや紙を敷いて溶剤を塗り広げますが、白いタオルにファンデーション汚れが移っていることはないです。
お着物を着たあとごとに衿山と袖口の2か所は、溶剤で拭いてお手入れしておくことをカリスマ着付師の大久保信子先生は推奨しています。
【大久保 信子先生の最新刊】
自分で溶剤を使う方法をプロが動画で説明しているので参考にしてみてください。
興味深いのは、早く乾かす方法とゆっくり乾かす方法があるということです。
着物のしみを自分では落とせなかったときは?
着物専門のクリーニング屋さん、染めの工房など個人客も対応してくれるところに相談してみます。
近所に見つけられない場合は、洋服のクリーニング屋さんに相談してみます。業者向けの着物専門クリーニング屋さんや染色工場にかわりに出してくれるでしょう。
ネットでしみ抜きを受け付けている会社もありますが、初めて出す場合は避けたほうが無難。
初めてだと善し悪しが判断できなく、業者の言いなりになってしまう恐れもあります。
染み抜きは「高い」というイメージがあり、放置してしまっている場合もありますね。
私の住む町にある染め工房の実際のメニューとして、
衿のファンデ汚れ
A店:2500円
B店:1000円~
袖口汚れ落とし
A店 :2500円
B店:1000円~
衿と袖口セット
A店:3000円
A店、B店どちらも実際に利用したことがあります。
B店が安いのですが、こちらの会社は職人さんがおひとりです。
百貨店などの業者対応も多く、個人客はかなり納期がかかります。
A店は通常2週間ほどで出来上がります。
次に着る予定がある場合はB店では間に合いませんでした。
半年かかってできなかったこともあります。
2,3の店舗を用途別に使い分けると、賢く利用できそうですね。
自分でやってみて、落ちなかった場合に専門家に依頼するものも手ですが、自分で落とそうとするあまりゴシゴシしてしまうと、繊維にダメージを与えることになります。
繊維の毛羽だちやスレは、直せなくなってしまう、もしくは大掛かりなことになりそうなので注意が必要です。
自分で落ちなくて、プロに依頼した衿山のファンデ汚れは、皮脂が時間経過で変色した可能性もあります。
繊維が変色してしまうと、色を補って目だなくさせるという工程が必要になってしまいます。
なので、自分で着用して新たに衿山につけてしまったときには、早目な対処が必要ですね。
着物に新らたなしみをつけないための予防策ある?
ここまで読み進めてもらうと、しみをつけるとそのあと非常にやっかいなことや面倒くさいことになるとご理解いただけたと思います。
では、新たに着物にしみ汚れをつけないためにできる予防策を知っていれば、助かりますよね!
新たなしみ汚れをつくらないための対策は、
1.生地全体に加工する方法。
2.汚れそうなところをハンカチなどでカバーする。
3.汗が直接着物につかないようにインナーを工夫する。
4.制汗剤で汗をコントロールして、裏地の汗ジミを防ぐ。
それぞれ、具体的にみていきます。
1.生地全体に加工する方法
有名なのは株式会社パールトーンのパールトーン加工ですね。
株式会社パールトーン
https://www.pearltone.com/business/
着物の襟の下あたりに「パールトーン加工」とタグがつけられています。
水をかけても玉になって布地から落ちるので、汚れが布地にしみこまない防汚効果がある加工です。
この加工は、
- 半永久的で布地がある限り効果は続く。
- 20年間アフターフォロー無料(丸洗いと汗抜き)
- 近くにパールトーンを取り扱っている呉服屋さんがない場合は営業所へ持参することも可能。
- 購入した呉服屋さんに持参しなくても良い。取扱店ならOK.(ただし、まれに一見さん不可な呉服屋さんもあると聞く)
(※(株)パールトーン広報室へインタビューより)
リサイクル着物の購入やお下がりやいただき物など、どこの呉服屋さんであつらえたものが不明な場合は、お住いの地域の呉服屋さんでパールトーン加工の取扱店かどうか尋ねるのが、一番早そうです。
呉服屋さんに接点がない場合は、直接最寄りの(株)パールトーンの営業所へ相談してみてください。
実際にお着物をパールトーン加工している友人より、
「仕上げのプレスは費用がかかる」そうですが、(取次店により違いがある可能性もあります)
着物にお仕立てしてからパルトーン加工する方法と、お仕立て前の反物と胴裏に加工する方法があります。
仕立て直しをする可能性がある場合には、反物状態で加工するほうがおすすめ。
お仕立て済みに加工すると縫い代を出して、サイズを大きくする場合に仕立て直しが難儀するそうです。
パールトーン加工は、表地も裏地も撥水加工されるので、食べこぼしから裏地にしみこむ汗じみも防げます。
丸洗いと汗抜きが20年無料になるのはかなりなお得感ありですね。
ちなみにお着物のみならず、クリーニングが簡単にできない衣服や帽子などにも加工できるんですよ。
お天気が悪くても着物を着る必要のある方や、汗っかきさんにおすすめな防汚対策です。
2.汚れそうなところをハンカチなどでカバーする
衿や膝の上の太ももあたりについたしみは、食べこぼしによってついたしみ汚れが多いですね。
大判のハンカチや日本手ぬぐいを衿元から太もも、お膝まで覆うとお箸からポロリとこぼれた食べこぼしからもお着物を守ることができますよ。
こんなかんじのもの販売してました
衿山の線状の汚れは、ほぼファンデーション汚れです。
つけてすぐなら自分のお手入れでもきれいになります。
油性の汚れなのでベンジン等でおとします。
自分で溶剤を使う方法をプロが動画で説明しているので参考にしてみてください。
たかはしきもの工房の女将が動画で説明。
3.汗が直接着物につかないようにインナーを工夫する
汗で胴裏に汗ジミを防ぐために、汗取り機能を持ったインナーを使うのも手。
おすすめはたかはしきもの工房のインナー。
たかはしきもの工房の補整くノ一(くのいち)「麻子」送料無料【国内送料無料】たかはしきもの工房オリジナル補整と汗取りと涼しさを【新】補整くノ一(くのいち)「麻子」
もっと簡単に、自分でカスタマイズできる方法が良い方は、蒸れずに汗を素早く吸い取り素早く乾かす特性を持つ「麻」素材のわたシートを使うことです。
この肌じゅばんの同部分に使われているのが「麻わた」です。
夏場だけ使う印象もありますが、着物通な方たちは一年通して利用し快適な着心地を楽しまれているそうです。
トールサイズのためのリサイクル着物セレクトショップ キモノDNA LOVEでカットしたものを取り扱っています。
当初仕入れた分がご好評で売り切れてしまい、工場より取り寄せ致しました。
20㎝幅と大判1M幅の二種類です。どちらも長さは160㎝。
夏場に限らず、一年中快適にお使いいただけます。
すでにリピート買いの方も大勢!
【麻わたカットシートの詳細を見る>>】
4.制汗剤で汗をコントロールして、裏地の汗ジミを防ぐ
汗かきサンは汗対策スプレーなど使うのも効果的。
着物を着る前の時点での対策です。
脇汗用と手の汗用など部分に応じて制汗&デオドラントグッズがあります。
脇汗対策で有名なのは美容皮膚科で処方しているデオドラント&汗対策ロールオン。
これは日本の医薬品ではないのですが、デンマークで最強と言われている制汗剤です。
美容皮膚科で脇汗をかかないようにボトックス注射を打つのですが、妊婦さんはボトックス注射できないので、妊娠期間中は汗ストップ&デオドラントのロールオンジェルを処方されます。
北欧は体臭が強いと言われている地域で、デオドラント製品には効果が高いものがそろっていると定評があります。
臭いは汗を介して発生するので、制汗効果がないものはデオドラント効果も薄くなってしまうとも言えます。
このデオドラント製品は、個人輸入品となりドラッグストアでは販売されていないものです。
美容皮膚科では「パースピレックス」という商品名ですが、日本では「デトランスα(アルファ)」という商品名で呼ばれています。
個人輸入になるので、説明書は英語です。
詳しい使い方は商品説明サイトで確認してみてください。
着物を着て脇汗をかくと、拭うことも困難です。
汗対策をしていないとお着物にも汗がついてしまい、身八ツ口の前あたりに楕円のしみができてしまいます。
この場所にある しみ は「抱きシ」と呼ばれています。
脇汗をかくことなくできれば、この抱きしみも作らなくてよいことになります。
制汗効果の高いパースピレックスのよいところは、毎日使わなくて済むことです。
美容皮膚科で買うとなると診察後の購入となるので、手軽に買うことができないのですが、
楽天で入手する方法もあり。
コスメの個人輸入会社から送料無料で取り寄せることもできます。
まとめ
1.ついているしみを取る方法。
2.新たなしみを作らない方法 。
3. しみができる原因を予防する方法 。
とお伝えしました。
手軽にできるものから、本格的なお手入れまでお着物に合わせてケアできると「着物上級者」になった気分がしますね!
「できそう!」と思ったものから始めてみるのもナイスです。