「いかり肩だから、着物が似合わない気がする」
「着物を着ると、肩のラインが目立ってしまう」
そんなふうに感じたことはありませんか?
着物姿というと、竹久夢二の絵に描かれるような、すっとしたなで肩を思い浮かべる方も多いかもしれません。
そのため、いかり肩や肩幅が気になると、「自分には着物が似合わないのでは」と思ってしまうことがあります。
でも、肩の形そのものを変えなくても、衿の着付けを少し変えることで、いかり肩をなで肩に近い印象に見せることはできます。
この記事では、肩パッドを使った補整の実験と、衿を首から離した着付けの比較をもとに、いかり肩をやわらかく見せる方法をご紹介します。
いかり肩でも着物は似合う?
いかり肩の場合、肩のラインが水平に近いため、着物を着たときに肩の存在がはっきり見えやすくなります。
さらに、衿を首に沿わせて着付けると、衿が立ちやすくなり、衿が終わったところから肩のラインが始まります。
すると正面から見たときに、
「ここまでが衿」
「ここから肩」
という境目が分かりやすくなります。
いかり肩の場合、その先に水平に近い肩のラインが続くため、肩の存在感がより強く見えやすくなるのです。
では、肩そのものをなで肩に近づければ解決するのでしょうか。
まずは補整で試してみました。
まずは補整でなで肩にできるか試してみた
肩パッドで肩に傾斜をつけてみる

既製品の和装補整を探してみましたが、肩そのものをなで肩に見せるための補整は、当時なかなか見つけることができませんでした。
そこで、洋服用の肩パッドを使って実験してみることにしました。
通常とは逆に、肩パッドの厚みがある側を首に近い位置へ置き、肩先に向かって傾斜がつくようにします。
実際に入れてみると、肩のラインに傾斜がつき、補整前よりもなで肩には近づきました。
肩の形を変えるだけでは自然に見せにくかった
ただし、肩パッドを入れれば簡単に自然ななで肩になる、というわけではありませんでした。
パッドの位置が少しずれると、肩が丸く見えたり、逆に肩まわりが大きく見えたりします。
また、効果が出る位置にきちんと乗せる必要があるため、毎回同じ位置へ補整するのも意外と難しいと感じました。
そこで、
肩そのものを変えるのではなく、肩がどう見えるかを着付けで変えた方が自然なのでは?
と考えました。
ここからが、今回いちばんお伝えしたいポイントです。
いかり肩をなで肩に見せるカギは「衿の角度」

いかり肩をなで肩に見せるために重要なのは、肩を小さく見せることではありません。
ポイントは、
「どこから肩が始まっているのか」を分かりにくくすること。
つまり、衿と肩の境界を曖昧にすることです。
衿を首に沿わせると「ここから肩」が分かりやすい
衿を首に沿わせて着付けると、衿が立ちやすくなります。
そして、衿が終わった位置から肩のラインが始まるため、正面から見たときに「ここからが肩」と分かりやすくなります。
いかり肩の場合、その肩のラインが水平に近いため、衿の終わりから肩先までの形がはっきり見えます。
その結果、肩そのものの存在を強く感じやすくなります。

衿を首から離すと、衿と肩の境目が曖昧になる
そこで、衿を首から少し離して着付けてみます。
首から衿を離すことで、衿が肩の方へなだらかに寝やすくなります。
すると、
「ここまでが衿」
「ここからが肩」
という境目が分かりにくくなります。
元記事では、同じいかり肩のトルソーで、
- 衿を首に沿わせた状態
- 衿を首から離した状態
を比較しています。
変えたのは、ほぼ衿まわりだけです。
それでも、衿を首から離した方が肩の存在が目立ちにくく見えました。
肩に乗る生地を減らすと肩の存在感も薄くなる
もうひとつ大きいのが、肩の上に乗る生地の量です。
衿を首に沿わせると、衿の生地が肩の上にしっかり乗ります。
一方、衿を首から離すと、その分だけ肩の上に乗る生地が少なくなります。
つまり、
- 衿と肩の境目が曖昧になる
- 肩の上に乗る生地も少なくなる
この2つが重なることで、肩そのものの存在感が薄く見えます。
肩の形は変わっていません。
でも、肩がどこから始まっているのかが分かりにくくなることで、いかり肩がなで肩に近い印象に見えるのです。
IKKOさんの衿元から学ぶ、なで肩に見せる着付け
この着付けを考えるきっかけになったのが、IKKOさんの衿元です。
元記事では、IKKOさんの着姿を参考に、
- 衿合わせを少し横に取る
- 衿を首から離す
- 肩に沿わせすぎない
という衿元に注目しています。
衿合わせを少し横に取る
衿合わせを首元へぎゅっと寄せるのではなく、少し横方向へ取るようにします。
そうすることで、衿が首に沿いすぎるのを防ぎやすくなります。
衿元に少し空間が生まれることで、首から肩へ続くラインがゆるやかに見えます。
衿を首から離して寝かせる
ここで大切なのは、衿を無理に立てることではありません。
首から少し離すことで、衿が肩方向へ自然に寝るようにします。
衿が首にぴったり沿って立っている状態よりも、肩との境界がぼやけるため、肩のラインが強く出にくくなります。
衿から肩までをひと続きに見せる
いかり肩をなで肩に見せるときは、衿と肩を別々に考えないことも大切です。
首元から衿、そして肩先までをひと続きのラインとして見ます。
衿が首から少し離れ、そのまま肩方向へなだらかにつながっていくと、
「衿が終わって、ここから肩」
という境目が見えにくくなります。
結果として、肩の水平なラインが目立ちにくくなり、なで肩に近い印象に見せることができます。
40代のいかり肩さんが着付けで意識したいこと
肩を隠すのではなく、肩の始まりをぼかす
いかり肩が気になると、つい肩を隠したくなります。
でも、今回の着付けで意識しているのは、肩を小さくしたり隠したりすることではありません。
肩の始まりを分かりにくくすること。
これがポイントです。
肩のラインそのものは変わらなくても、衿との境界が曖昧になるだけで、肩の見え方は大きく変わります。
正面から衿と肩のつながりを見る
衿元を整えるときは、衿合わせだけをアップで見るのではなく、少し離れて正面から全体を見てみてください。
見るポイントは、
首 → 衿 → 肩 のつながりです。
「衿が終わったところから急に肩が始まって見えないか」
「衿から肩までが、なだらかにつながって見えるか」
を確認すると分かりやすいです。
自分の肩に合う衿の離し方を探す
首から離せば離すほど、なで肩に見えるわけではありません。
首の長さや肩の角度、着物の生地、衿の硬さによって見え方は変わります。
そのため、「首から何cm離す」と決めるよりも、鏡で全身を見ながら自分に合う位置を探す方がおすすめです。
少しずつ衿の位置を変えて、
どこから肩が始まって見えるか
を比べてみると、自分に合う衿元が見つけやすくなります。
浴衣でも同じ考え方は使える
この考え方は、浴衣でも使えます。
浴衣でも、衿を首にぴったり沿わせるより、少し離して衿と肩の境界を曖昧にすると、いかり肩のラインが目立ちにくくなります。
ただし、浴衣は長襦袢を着ないため、衿の形を保ちにくいことがあります。
いかり肩をなで肩に見せる着付けまとめ
いかり肩をなで肩に見せるために、肩そのものを変える必要はありません。
今回試した肩パッドの補整では、肩に傾斜をつけることはできましたが、自然に見せるには位置調整が難しいと感じました。
一方、衿元の着付けを変える方法なら、肩の形を変えなくても見え方を調整できます。
ポイントは、
- 衿を首に沿わせすぎない
- 衿を首から少し離す
- 衿と肩の境界を曖昧にする
- 肩の上に乗る生地を減らす
- 首から衿、肩までをひと続きのラインとして見る
こと。
つまり、いかり肩を隠すのではなく、
「ここから肩」と分からないようにする。
それだけでも、肩の水平なラインが目立ちにくくなり、なで肩に近い印象に見せることができます。
いかり肩だから着物が似合わない、と諦める必要はありません。
いつもの着付けから衿の位置をほんの少し変えて、肩の見え方を比べてみてください。

