花火大会や夏祭りから帰って浴衣を脱いだあと、
「この浴衣、どうしたらいい?」
「すぐ洗った方がいいの?」
「帯や腰紐も洗うの?」
と迷ったことはありませんか。
浴衣のお手入れで大切なのは、脱いだあとすぐに何でも洗うことではありません。
まずは浴衣や帯、小物に残っている湿気を飛ばし、汗や汚れの状態を確認すること。
そして、
- 近いうちにもう一度着るのか
- 今シーズンはもう着ないのか
- 自分でお手入れできるものなのか
を判断します。
この記事では、
着物スタイリスト・着物専門店オーナーの視点から、
✔浴衣を脱いだ直後のお手入れ
✔自宅でできること
✔自分で無理にしない方がいいこと
✔来年も気持ちよく浴衣を着るための保管方法
まで順番に解説します。
浴衣を着た後、まずどうすればいい?脱いだ夜にすること5つ
浴衣を脱いだら、まず洗濯機へ。
……ではありません。
最初にするのは、浴衣や帯、小物の状態を確認することです。

1.浴衣を脱いですぐに畳まない
着用後の浴衣には、汗や体温による湿気が残っています。
脱いですぐに畳んで収納すると、その湿気も一緒に閉じ込めることになります。
まずは浴衣を広げ、風を通しましょう。
2.ハンガーに掛けて陰干しする
浴衣は、直射日光の当たらない風通しのよい場所で陰干しします。
目的は、洗濯することではなく、まず浴衣に残った湿気を飛ばすこと。
脱いだその日にすぐ洗濯できない場合でも、とりあえずハンガーに掛けておくだけで、そのまま畳んで置いておくより安心です。
3.汗をかいた場所を確認する
陰干しをしながら、浴衣の状態を確認します。
特に確認しておきたいのは、
- 衿まわり
- 脇
- 背中
- 腰まわり
など、汗をかきやすい部分です。
見た目には汚れていなくても、暑い日に長時間着用していた場合は、かなり汗をかいていることがあります。
4.食べこぼしや化粧汚れ、泥はねを確認する
次に、汗以外の汚れも確認します。
夏祭りや花火大会では、飲食をする機会も多くなります。
食べこぼしや飲み物、ファンデーションなどの化粧品、雨の日の泥はねなどが付いていないか見ておきましょう。
汚れは時間が経つほど落としにくくなることがあります。
「来年着るときに考えよう」と、そのまましまわないことが大切です。
5.帯や腰紐などの着付け小物も風を通す
浴衣を脱いだ直後は、帯や腰紐、伊達締めなどにも湿り気を感じることがあります。
ただし、浴衣と違い、帯や着付け小物そのものが汗で濡れているとは限りません。
汗で濡れているわけでなく着用による湿気が残っている程度であれば、基本的には陰干しして十分に湿気を飛ばします。
何でも毎回洗う必要はありません。
むしろ、素材や仕立てによっては洗うことで型崩れや風合いの変化につながるものもあります。
まずは「洗う」より、「湿気を取る」と考えましょう。
浴衣は着るたびに洗った方がいい?
浴衣は、着るたびに必ず洗わなければならないわけではありません。
大切なのは、
「何回着たか」ではなく、「どんな状態になっているか」
で判断することです。
短時間の着用で、それほど汗をかいておらず、汚れも見当たらない場合は、まずしっかり陰干しします。
一方で、
- 汗をたくさんかいた
- 長時間着用した
- 衿や脇などに汗が残っている
- 食べこぼしなどの汚れが付いた
- 今シーズンはもう着る予定がない
といった場合は、洗濯や専門店でのお手入れを検討します。
ただし、ここで注意したいのが、
「浴衣だから全部自宅で洗える」とは限らない
ということです。

自分でできるお手入れ・自分でしない方がいいこと
浴衣のお手入れは、自宅でできることもたくさんあります。
一方で何でも自分で何とかしようとすると、かえって生地を傷めたり色落ちや縮みにつながったりすることがあります。
自分でできること
まず自宅でできるのは、
- 陰干しをする
- 汗や汚れを確認する
- 洗濯表示を確認する
- 家庭洗濯可能な浴衣を表示に従って洗う
- 洗った後に形を整えて干す
- 帯や腰紐などの湿気を飛ばす
といったお手入れです。
難しいことをする必要はありません。
脱いだあとに状態を確認し、適切に湿気を飛ばす。
それだけでも大切なお手入れです。
自分で無理にしない方がいいこと
反対に、
- 洗濯できるか分からない浴衣を自己判断で洗う
- 落ちないシミを強くこする
- 洗濯表示を確認せず洗濯機へ入れる
- 色落ちが心配な浴衣をそのまま洗う
- 落ちない汚れに洗剤や漂白剤を次々試す
といったことは避けた方が安全です。
分からない場合は、無理をせず専門店やクリーニング店へ相談します。
お手入れは「自分で全部やること」が正解ではありません。
自分でできる範囲を知ることも、浴衣を長く着るためのお手入れの一つです。

自宅で浴衣を洗う前に確認すること
自宅で浴衣を洗う場合、まず確認するのは洗濯表示です。
浴衣だから、木綿だから、と素材だけで判断せず、その浴衣の表示を確認してください。
染めや加工、仕立てなどによって取り扱いが異なることがあります。
洗濯表示を確認しても判断できない場合は、無理に自宅で洗わない方が安心です。
自宅で洗える浴衣の基本的な洗い方
家庭洗濯が可能な浴衣であれば、その浴衣の洗濯表示に従って洗います。
基本的には、
- 汚れがないか確認する
- 浴衣を整えて畳む
- 洗濯ネットに入れる
- 洗濯表示に従って洗う
- 長時間の脱水を避ける
- 洗濯後はすぐに取り出す
という流れです。
特に洗った浴衣を洗濯機の中へ長時間入れたままにすると、シワが残りやすくなります。
洗濯後はできるだけ早く取り出し、形を整えて干しましょう。
洗った浴衣の干し方
洗濯後は、できるだけ浴衣の形を整えて干します。
ハンガーに掛けたら、袖や身頃を広げ、縫い目や衿などを手で整えます。
強い直射日光は避け、風通しのよい場所で陰干しします。
そして、収納する前には必ず完全に乾いていることを確認してください。
生乾きの状態で畳んでしまうと、湿気を残したまま長期間保管することになります。
帯・腰紐・伊達締めなども洗った方がいい?

浴衣を脱いだとき、
「帯も腰紐も汗を吸っていそうだから全部洗わなきゃ」
と思うかもしれません。
しかし、帯や腰紐などは、着用直後に少し湿り気を感じても、実際に汗で濡れていない場合も多くあります。
その程度であれば、基本的には風通しのよい場所で陰干しし、湿気を飛ばせば十分です。
毎回洗濯する必要はありません。
帯や着付け小物は素材やつくりがさまざまです。
特に洗濯できるか分からないものを、浴衣と一緒に洗濯機へ入れるのは避けましょう。
肌着類は別に考える
一方、直接肌に触れる肌着類は汗を吸っています。
浴衣本体や帯とは分けて考え、その商品の洗濯表示に従ってお手入れします。
数日後に浴衣を着る場合は?
夏祭りが続いたり、旅行先で何度か浴衣を着たりすることもあります。
近いうちに再び着る予定がある場合も、まずは一度しっかり陰干ししましょう。
そのうえで、
- 汗が多く残っていないか
- 衿などに汚れがないか
- 食べこぼしなどがないか
- シワが強く残っていないか
を確認します。
必要なお手入れをして、次に気持ちよく着られる状態にしておきましょう。
帯や腰紐などの小物も、すぐにしまわず一度風を通しておきます。
今シーズンはもう着ない浴衣はどうする?
ここからは、少し考え方を変えます。
数日後にまた着る浴衣と、来年まで数か月間しまっておく浴衣では、お手入れの目的が違うからです。
来年まで保管する場合は、
汗・汚れ・湿気を残したまま長期保管しないことが特に重要です。
汚れを確認し、必要に応じて洗濯または専門店でのお手入れを行い、完全に乾燥させてから収納します。
そして、もう一つ覚えておきたいポイントがあります。
来年も着たい浴衣は「糊付けしない」
浴衣をパリッと仕上げたいからと、洗濯の最後に糊付けをすることがあります。
しかし、今シーズン最後のお手入れをして、そのまま翌年まで長期保管する浴衣には、基本的に糊付けをしないことをおすすめします。
糊を付けた状態で長期間保管すると、保管中に変色する原因になる可能性があるためです。
来年までしまっておく浴衣は、
洗う → 糊付けしない → 完全に乾燥 → 保管
と覚えておくと分かりやすいでしょう。
「今年最後だから、きれいにパリッと仕上げてしまっておこう」ではなく、
来年着るためだからこそ、糊を付けずにしまうという考え方です。
クリーニング店へ浴衣を出すときのポイント
自宅でのお手入れが難しい場合は、クリーニング店へ依頼する方法もあります。
その際は、ただ「浴衣のクリーニングをお願いします」と渡すのではなく、
「水洗いでお願いします」
と確認しましょう。
さらに、来年まで保管する予定であれば、
「糊付けはしないでください」と伝えます。
店舗によって仕上げ方法が異なる場合がありますので、
- 浴衣であること
- 水洗いを希望すること
- 長期保管するため糊付けを希望しないこと
を依頼時に伝えておくと安心です。
来年も気持ちよく着るために、しておくこと

夏が終わったら、浴衣をただタンスに戻して終わりではありません。
来年も気持ちよく袖を通すために、
- 汗や汚れが残っていないか確認する
- 必要なお手入れを済ませる
- 洗った浴衣には糊付けをしない
- 完全に乾かしてから収納する
- 帯や小物の湿気も飛ばす
- 来年必要になるものが揃っているか確認する
ところまでやっておくと安心です。
浴衣だけでなく、
「帯はある?」
「腰紐は足りる?」
「下駄は傷んでいない?」
と、一式を確認しておけば、翌年の夏に慌てずに済みます。
来年のために「しないこと」
反対に、長期保管する前に避けたいのは次のようなことです。
汗をかいたまま畳んでしまう
見た目がきれいでも、湿気や汗が残っていることがあります。
まず風を通し、状態を確認します。
シミや汚れをそのまま翌年まで放置する
「来年着る前に洗えばいい」と思わず、気づいた汚れには早めに対応しましょう。
湿ったまま収納する
浴衣も帯も、十分に湿気を飛ばしてから収納します。
洗えるか分からないものを自己判断で洗う
浴衣も帯も小物も、分からない場合は無理に洗いません。
来年まで保管する浴衣に糊付けする
今季最後の洗濯後は、糊を付けずに保管します。
クリーニング後の仕上げを確認せず、そのまましまう
クリーニングへ出す場合も、水洗い・糊なしを依頼時に確認しておきましょう。

Webshopを運営していると、お客様から着物や浴衣のお手入れについてご質問をいただくことがあります。
InstagramのDMでも、
「これって洗った方がいいですか?」
「帯はどうしたらいいですか?」と聞かれることがあります。
そこで、浴衣を着たあとによく迷いやすいポイントをQ&Aにまとめました。
浴衣を着た後のお手入れQ&A

Q.浴衣は着るたびに洗った方がいいですか?
必ず毎回洗濯する必要があるわけではありません。
着用時間、汗の量、汚れの有無など浴衣の状態を確認して判断します。
まず陰干しをして湿気を飛ばし、そのあと洗濯が必要か考えましょう。
Q.脱いだ浴衣は一晩ハンガーに掛けても大丈夫ですか?
湿気を飛ばすために陰干しすることは大切です。
ただし、直射日光の当たる場所や湿度の高い場所は避け、風通しのよい場所に掛けましょう。
Q.帯も毎回洗った方がいいですか?
着用直後に少し湿り気を感じる程度で、汗で濡れていないのであれば、基本的には陰干しして湿気を飛ばします。
洗えるか分からない帯を自己判断で洗濯するのは避けたほうが安心です。
Q.腰紐や伊達締めも洗いますか?
汗で濡れていない場合は、まず陰干しして湿気を飛ばします。
お手入れが必要な場合は、それぞれの素材や洗濯表示を確認してください。
Q.来年までしまう浴衣は糊付けしますか?
長期保管する浴衣には、糊付けをしないことをおすすめします。
糊が付いた状態で長期間保管すると、変色する可能性があります。
洗ったあとは糊を付けず、完全に乾かしてから収納します。
Q.クリーニング店へ出す場合は何と伝えればいいですか?
浴衣を水洗いしてほしいことを伝え、来年まで保管する場合は「糊付けなし」で依頼します。
仕上げ方法は店舗によって異なるため、依頼時に確認すると安心です。
まとめ|浴衣のお手入れは「脱いだ後」と「来年まで」がポイント
浴衣を脱いだあと、最初から難しいお手入れをする必要はありません。
まずは、
- すぐに畳まない
- 陰干しして湿気を飛ばす
- 汗や汚れを確認する
- 帯や小物も風を通す
- 洗う必要があるか判断する
ここから始めます。
そして今シーズンもう着ない浴衣なら、
汚れを残さない。
湿気を残さない。
長期保管する浴衣には糊を付けない。
この3つを意識しておきましょう。
浴衣は、着た日の夜のお手入れだけで終わりではありません。
今年きれいに片付けておくことは、来年の夏、気持ちよく浴衣を着る準備でもあります。
次の夏に浴衣を広げたとき、
「ああ、ちゃんとお手入れしておいてよかった」
と思える状態にして、今年の浴衣シーズンを締めくくりましょう。
Webshopを運営しながら、Instagramでも着物や浴衣のお手入れ、着付けについて発信しています。着物を「買ったあと」「着たあと」に困らないための情報も、これから少しずつ増やしていきます。Instagram
@kimono.dna.loveWEBSHOP
トールサイズのためのリサイクル着物セレクトショップ
キモノDNA LOVE
